岐阜大学歯髄細胞プロジェクトが保有する、ヒト歯髄細胞バンクのマスターデータをNFT-Drive技術を使ってSymbolブロックチェーンにNFT (Non-fungible token, 代替不可性トークン)として記録しました。そこから歯髄細胞の入ったチューブを外部機関に送付し、その記録をCellPiを使ってdHealthに刻みました。
これまで使ってきたアナログデータをNFT化することによって、凍結保存されたチューブに世界にひとつしかないユニークなIDをつけることができ、そのIDを使ってブロックチェーンを利用したShizuiNetトレーサビリティへとつなぐ、初の試みです。
これまで、10年以上も紙ベースで利用されてきたアナログデータを、ただExcelやPDFなどのデジタルデータに変換しても、ユーザーはそれをプリントアウトしたものを使って紙にもどってしまう。あるいは自分のPCにコピーして個人用ファイルとして記録をはじめてしまう。DXがなかなか進まない背景には、すでに確立してしまった手順をデジタル化することの難しさが潜んでいます。
ShizuiNetは、従来のアナログな管理をそのまま残しながら、デジタル化したスナップショットファイルに、NFT化によってユニークなIDをつけることで、この問題を解決しました。ですので、バーコードがついていない古いチューブの中身をバーコード付きチューブに移したり、凍ったチューブに無理やりバーコードシールを貼り付けたりはしません。
https://nft-drive-data-explorer.tk/download.php?address=TDQNSH5Q6GGQAVG2USFR4OQWWKB5RIJKZJBLVIY
上のリンクは、実際にNFT化されたボックスレイアウトをpdf化したファイルです。このファイルはブロックチェーンに直接記録されていて、改変したり削除したりすることができません。そして4BC27F47824B84CBという代替不可能なトークンと1対1に結びついています。このようにNFT化された保存箱から取り出されたチューブには、保存箱のNFT-ID+箱の中の位置情報という「ユニークなID」をつけることができます。
あるいは、実験者によって作製されたばかりでバンクに入っておらず、デジタル化できていない場合は、単純にそのチューブに書かれたラベルをバーコード化したものをつけるしかないでしょう。このような場合でも、ブロックチェーンには正確なタイムスタンプ、送付者と受け手のブロックチェーンアドレスが一緒に記録されるので、いつどこからどこへどのような名前のチューブが送られたかが分かるようになります。つまり、ブロックチェーンにはちゃんと記録が残せます。
そして、このようにバーコードをつけておけば、チューブが送付先で使用され、バーコード付チューブに入ったところから、デジタル化された保管システムや、CellPiを使ったより精緻なトレーサビリティをいつでも開始できるのです。こうやって、これまでデジタル化が困難とされてきた分野にブロックチェーン技術をジワジワと浸透させていき、高度なトレーサビリティへと進化させようとしているのがShizuiNetの戦略です。