会社設立にあたって

再生医療の現場に安全な細胞をとどける

われわれは岐阜大学で、捨てられる親知らずや乳歯から細胞を取り出し、再生医療に応用する研究をしています。歯髄細胞と呼ばれるこの細胞は、硬い歯の中で守られています。脊髄損傷を治療したり、歯周病を予防することができ、iPS細胞の原料にもなります。

しかし、細胞は提供していただいてから、患者さんに届くまでのあいだに様々に変化します。取り扱い方が悪いと、移植しても充分な力を発揮できなくなることもあります。そのために、わたしたちは細胞の品質管理に、ブロックチェーンという技術を世界ではじめて導入します。ShizuiNetは細胞の「ヒストリー」を完全記録することにより、安心して治療に使える細胞を再生医療の現場に届けます。

「あきらめない くじけない むりしない」

新着情報

Management of Transferring and Viewing Rights with Thumbnails of Medical Datasets Recorded on a Blockchain as NFTs.(医療データのサムネイル画像NFTを使ったデータ送付および閲覧権の管理)

https://medium.com/@shizuilab/management-of-transferring-and-viewing-rights-with-thumbnails-of-medical-dataset …

ShizuiNetとは?

ShizuiNetの概要

われわれが提供するShizuiNetは、ブロックチェーンに、細胞の製造や輸送などに関する様々な情報を記録するデータベースシステムです。細胞を提供してくれるドナーさんから患者さんまでのデータを安全に保管する役目をします。

細胞の輸送や、製造現場で使われるシステムには互換性がなく、専用システムの構築と維持には多大なコストがかかります。そこで、岐阜大学しずい細胞プロジェクトで培われた20年の経験を元に、細胞と紐付いたバーコードデータを記録し共有するしくみが作れないかと考えました。

細胞を保存するチューブにはバーコードIDがついています。手始めに、これをブロックチェーンに記録するデバイス「CellPi」を作りました。CellPiはバーコードIDを読み取って、タイムスタンプとくっつけてブロックチェーンに送信します。匿名化されたバーコードを使う事で、個人情報にも配慮しており、プロトコールは岐阜大学倫理審査委員会の承認(既存試料を用いたヒト口腔由来細胞からのiPS細胞の誘導とトレーサビリティに関する研究:承認番号 2023-322)を得ています。

一方、データベースサーバー(MoniPi)は、ブロックチェーンに定期的に問い合わせをおこない、トレーサビリティ情報をダウンロードします。ユーザーはブラウザからMoniPiに接続し、記録済みのトレーサビリティ情報に素早くアクセスできます。これがブロックチェーンが苦手とする過去に遡っての素早いデータアクセスを可能にする仕組みです。台長がブロックチェーンに安全に保存されているため、MoniPiはいつでもブロックチェーンからトレーサビリティ情報を再構築が可能です。

これらのデバイスやサーバーは、内部に必要な小さなデータベースを内蔵して、その内容を常時ブロックチェーンと同期しています。これによってバラバラのデータベースを同期したりメンテナンスするコストが少なくて済み、ブロックチェーンの強固なセキュリティの恩恵を受けることができるようになっています。

CellPiプロトタイプを使った細胞バーコード記録の解説動画
ブロックチェーンから必要なデータをダウンロードして保存・表示するMoniPi (Raspberry Pi4を使用したスタンドアローンバージョン)


MoniPiに記録されるブロックチェーン情報の詳細

リモートワーク管理や農業分野などへの応用

公共のブロックチェーンと、省電力なデバイスのみで構成されるShizuiNetは、様々な方面に応用が可能です。例えば、コロナ禍の時にはShizuiNetを使ってリモートワーク管理をやりました。勤怠管理だけでなく、日々の体温や運動の記録、服薬記録などもすべてバーコード化して、CellPiを簡略化したWanaPiというデバイスで3年以上記録を残しています。


MoniPiの検索機能を使った履歴一覧表示(リモートワーク記録の例)

米や自然薯などの農産物トレーサビリティにも応用されています(CannaPi)。公共ブロックチェーンを利用しているので、もしMoniPiが故障しても、元データは影響を受けず、いつでも最新情報での再構築が可能です。ブロックチェーンのアクセスポイントは世界中に500箇所以上もあるので、たとえいくつかのクラウドサービスが同時に停止しても、デバイスからのデータ書き込みを継続させることができます。このように非常に高い可用性を保ち、堅牢で改変されることがない仕組みはブロックチェーンならではと言えるでしょう。

現在、岐阜大学医学部のセルプロセッシングセンターを使って、試作機のテスト運用をおこなっています。わたしたちが持つ細胞やその取り扱いノウハウを社会に還元すべく、共同研究を通して他の企業や機関と情報やノウハウを共有しています。幅広いトレーサビリティのニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。もちろん岐阜大学との秘密保持契約や共同研究契約の仕組みも利用可能です。

メンバー

手塚 建一(代表取締役)

1964 東京都町田市生まれ
1987 京都大学理学部卒業
1987 ヘキストジャパン(株)医薬総合研究所分子生物学研究室
1991 明海大学歯学部口腔解剖第一講座, 助手
1994 Merck Research Laboratories, Postdoctoral Scientist
1997 東京理科大学生命科学研究所, 講師
2002 岐阜大学医学部再生医科学専攻, 助教授
2004 科学技術振興機構, さきがけ研究員(兼任)
2007- 岐阜大学大学院医学系研究科, 准教授
2022- 株式会社しずい細胞研究所, 代表取締役(兼任)

私は長年にわたって骨や歯などの研究をおこなってきました。岐阜大学に移ってきた時に、捨てられる親知らずからたくさんの細胞が採取できることを知り、この細胞を世界に届けたいと思い会社を立ち上げました。これまでの経歴や詳しい業績は以下の研究室のホームページを御覧ください。

岐阜大学大学院医学系研究科手塚研究室のホームページ

会社概要

会社名:株式会社しずい細胞研究所

所在地:501-1194 岐阜県岐阜市柳戸1-1
岐阜大学大学院医学系研究科再生機能医学分野内
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代表者:手塚建一

事業内容:細胞の品質・流通管理システムの開発

資本金:350万円

会社設立:2022年4月1日