技術書典14で「Symbol解体新書」が販売されます

本研究所代表の手塚が、NEMLOGで連載した技術記事をまとめた「Symbol解体新書」が、池袋ならびにオンラインで開催される技術書典14で販売されます。

Symbol解体新書は、Jaguar, Gimre, BloodyRookieの3氏によるSymbol Technical Referenceに解説を加えながら日本語に翻訳したもので、国内で広く利用されています。Symbolブロックチェーンの技術参考書でありながら、ブロックチェーンの基礎となる暗号化、署名、マークルパトリシアツリー、セキュリティリスクなど、幅広い事柄について解説しており、一緒に販売されるSymbolの実習書「速習Symbol(Javascript版C#版)」と合わせて、ブロックチェーン入門書として、またブロックチェーン開発の参考書として長く使える内容になっています。

価格は電子版と書籍版をあわせて2000円ですので、ぜひお手に取ってみてください。また表紙のないPDFバージョンは、こちらのNEMLOG記事から無料で入手可能です。

農産物トレーサビリティCannaPi(かなっぴ)が始動しました

岐阜大学とサイアムレイワとの共同研究から生まれたCannaPi(かなっぴ)。種子や苗にバーコードをつけて、栽培>収穫>出荷>販売のトレーサビリティ実現を目指しています。手始めに長崎と岐阜で、トマト、米、自然薯を使っての実証実験が開始されました。

ShizuiNetが岐阜大学地域創生プロジェクトアクションプランに採択されました

再生医療用細胞の流通や製造工程などをブロックチェーンに記録して、ドナーから患者までをつなぐトレーサビリティーを実現する「ShizuiNet」が、岐阜大学地域創生プロジェクトのアクションプランに採択されました。今後は細胞への遺伝子編集、細胞が分泌するエクソソームの製造、骨再生への応用など、さらにきめ細かな記録を追跡できるようになります。農産物製造等への応用も、共同研究契約を通じて進めます。

メッセナゴヤ2022の岐阜大ブースに出展

岐阜大学産学官連携推進本部のお誘いで、メッセナゴヤ2022、ブース(1D-24)にて、Symbolプラットフォームのブロックチェーンを使って、細胞だけでなく農産物なども追いかけるShizuiNet技術について出展します。

最近作った小型デバイスの見本も持っていきます。僕は11月17日(木曜日)に現地で応対する予定です。

無料登録すると以下のページで他の岐阜大学発プロジェクトと一緒にしずいプロジェクトの内容を見ることができます。

https://nagoya2022.messe.ai/exhibitor/detail/4vTOL740iA9VZDYVnQz913

医療大麻の(株)サイアムレイワインターナショナルと岐阜大学が、ブロックチェーンを活用した産官学共同研究を開始しました

岐阜大学と株式会社サイアムレイワインターナショナル(岐阜県穂積市)は医療用大麻等の農産物のトレーサビリティ実現に向けた共同研究を開始しました。

一般の農産物に比べ、医療用にも使われる大麻は厳格なトレーサビリティが求められます。サイアムレイワインターナショナルは、大麻が解禁されているタイに本拠地を持つ大麻栽培企業です。栽培は管理区域で行われており、製造や品質の管理に最新のテクノロジーが使われています。以下は、タイの製造工場の様子を記録した動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=VejydpPu2Rc

再生医療等に利用されるヒト細胞由来原料を緻密にトレースすることを目的として開発されたShizuiNet技術を応用すれば、医療用大麻も流通だけでなく、製造工程を含めてブロックチェーンを使って厳格に管理することができます。これは、違法栽培、違法販売、模造品、偽造品等、一般消費者の健康被害に繋がる製造や流通を抑止し、安全で信頼できる大麻由来製品を社会に届ける一助となるでしょう。

現在厚生労働省では、若者の違法薬物濫用対策や、医療用大麻由来成分の国際的な利用拡大に対処するために、小委員会を設けて議論を進めています。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25666.html

本研究プロジェクトは、将来日本国内でも利用拡大が進むであろう大麻活用のために必要な技術を、いち早く国際共同研究により実現することを目指します。

Yahooニュース:医療大麻の栽培管理にシンボル(XYM)活用、サイアムレイワが岐阜大学と実証開始

PRTimes: 医療大麻の(株)サイアムレイワインターナショナルと岐阜大学、ブロックチェーンを活用した産官学共同研究を本格開始

岐阜大学プレスリリース資料:https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/press/20221024.pdf

歯髄細胞バンクをSymbolテストネットに記録&初送付

岐阜大学歯髄細胞プロジェクトが保有する、ヒト歯髄細胞バンクのマスターデータをNFT-Drive技術を使ってSymbolブロックチェーンにNFT (Non-fungible token, 代替不可性トークン)として記録しました。そこから歯髄細胞の入ったチューブを外部機関に送付し、その記録をCellPiを使ってdHealthに刻みました。

これまで使ってきたアナログデータをNFT化することによって、凍結保存されたチューブに世界にひとつしかないユニークなIDをつけることができ、そのIDを使ってブロックチェーンを利用したShizuiNetトレーサビリティへとつなぐ、初の試みです。

これまで、10年以上も紙ベースで利用されてきたアナログデータを、ただExcelやPDFなどのデジタルデータに変換しても、ユーザーはそれをプリントアウトしたものを使って紙にもどってしまう。あるいは自分のPCにコピーして個人用ファイルとして記録をはじめてしまう。DXがなかなか進まない背景には、すでに確立してしまった手順をデジタル化することの難しさが潜んでいます。

ShizuiNetは、従来のアナログな管理をそのまま残しながら、デジタル化したスナップショットファイルに、NFT化によってユニークなIDをつけることで、この問題を解決しました。ですので、バーコードがついていない古いチューブの中身をバーコード付きチューブに移したり、凍ったチューブに無理やりバーコードシールを貼り付けたりはしません。

今回送付したのは、歯胚13という箱のI3という場所にあったDP166P4というチューブです。このレイアウトファイルが持つNFT-IDと場所情報を繋げた「4BC27F47824B84CB-I5」が、このチューブのユニークIDとなります。

https://nft-drive-data-explorer.tk/download.php?address=TDQNSH5Q6GGQAVG2USFR4OQWWKB5RIJKZJBLVIY

上のリンクは、実際にNFT化されたボックスレイアウトをpdf化したファイルです。このファイルはブロックチェーンに直接記録されていて、改変したり削除したりすることができません。そして4BC27F47824B84CBという代替不可能なトークンと1対1に結びついています。このようにNFT化された保存箱から取り出されたチューブには、保存箱のNFT-ID+箱の中の位置情報という「ユニークなID」をつけることができます。

あるいは、実験者によって作製されたばかりでバンクに入っておらず、デジタル化できていない場合は、単純にそのチューブに書かれたラベルをバーコード化したものをつけるしかないでしょう。このような場合でも、ブロックチェーンには正確なタイムスタンプ、送付者と受け手のブロックチェーンアドレスが一緒に記録されるので、いつどこからどこへどのような名前のチューブが送られたかが分かるようになります。つまり、ブロックチェーンにはちゃんと記録が残せます。

そして、このようにバーコードをつけておけば、チューブが送付先で使用され、バーコード付チューブに入ったところから、デジタル化された保管システムや、CellPiを使ったより精緻なトレーサビリティをいつでも開始できるのです。こうやって、これまでデジタル化が困難とされてきた分野にブロックチェーン技術をジワジワと浸透させていき、高度なトレーサビリティへと進化させようとしているのがShizuiNetの戦略です。

dHealthの取り組み

ShizuiNetはNEMブロックチェーンで生まれました。今、ブロックチェーンは医療データだけでなく、臨床研究、ワクチン、臓器移植、そして日々の健康記録まで、様々な分野で使われ始めています。岐阜大学とパートナーシップを結んでいるdHealthも、これらの分野で幅広く使われるブロックチェーンのひとつになりつつあります。

https://medium.com/dhealth%E5%85%AC%E5%BC%8F%E6%83%85%E5%A0%B1-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3-%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97-10-9af25b34970

トイレ行動をブロックチェーンに記録する「しずいトイレット」

ツィッターでのふとした呟きがきっかけで、新しいアイデアが生まれたりします。しずいネット(ShizuiNet)の紹介動画を作ってくださったRadioさんのDAPPNコインのアイデア。歩数コインのSTEPNから連想される、トイレに行って出すとコインがもらえるというものですが、実際に作ってみるとかなり面白いものになりそうな予感がしました。

私の父はパーキンソン病を患っていて、薬の副作用から便秘に注意しないとなりません。手先も不自由ですから、カレンダーに手書きで毎回記録を残すのも大変そうです。水を流すためのトイレのつまみとブロックチェーンを連動させれば、そんな苦労も多少は改善されるのではないかと思いました。

しずいネットは、スイスのdHealthネットワークと連携しています。まだ構想段階ですが、歩数計、体温計、体重計など、さまざまなデバイスから得られる健康情報は、提供する本人にとっても、製薬企業や大学の研究者にとっても、大変貴重なものです。それを、提供者の権利を保ったまま、研究者がアクセスできるようにするブロックチェーン技術。これから大きく発展していくものと思われます。

CellPi実験機5台によるクリーンルームを使った実証実験開始

岐阜大学の地域イノベーション予算を頂いたので、ステンレス筐体型2台、3Dプリンタモデル1台、基板型2台の、合計5台のCellPi実験機(第3世代プロトタイプ:CellPi3)が稼働を開始しました。

CPCのクリーンベンチ内に設置されたステンレス筐体CellPi3

ステンレス筐体型は、クリーンルームに設置。3Dプリンタ&基板型は、オフィスに設置し、すべてブロックチェーンに接続しています。設定ファイルを書き換えることで、Symbol型のどのブロックチェーンにも、容易に接続できます。

今後、これらの実験機を使って、細胞製造工程や輸送のシミュレーションをおこない、ソフトウエアのブラッシュアップをしていきます。