会社設立にあたって

再生医療の現場に安全な細胞をとどける

われわれは岐阜大学で、捨てられる親知らずや乳歯から細胞を取り出し、再生医療に応用する研究をしています。歯髄細胞と呼ばれるこの細胞は、硬い歯の中で守られています。脊髄損傷を治療したり、歯周病を予防することができ、iPS細胞の原料にもなります。

しかし、細胞は提供していただいてから、患者さんに届くまでのあいだに様々に変化します。取り扱い方が悪いと、移植しても充分な力を発揮できなくなることもあります。そのために、わたしたちは細胞の品質管理に、ブロックチェーンという技術を世界ではじめて導入します。細胞の「ヒストリー」を完全記録することにより、安心して治療に使える細胞を再生医療の現場に届けます。

「あきらめない くじけない むりしない」

新着情報

ShizuiNet

われわれが提供するShizuiNetは、ブロックチェーンに、細胞の製造や輸送などに関する様々な情報を記録するシステムです。細胞を提供してくれるドナーさんから患者さんまでをつなぐ役目をします。

細胞の輸送や、製造現場で使われるデータ形式の多くは互換性がなく、専用システムの構築と維持には多大なコストがかかります。そこで、われわれは岐阜大学しずい細胞プロジェクトで培われた経験を元に、現場で簡単に細胞と紐付いたバーコードデータを記録するしくみが作れないかと考えました。

細胞を保存したフリーズボックス内のチューブの配置図や、ロボット式凍結保存装置の保管台帳などを起点として、チューブやサンプルに付けられたバーコードIDを、現場でリアルタイムにブロックチェーンに記録していきます。

dHealthやSymbolなどの、公共性の高いブロックチェーンだけでなく、お客様が独自に用意するmijin等の機密性の高いプライベートブロックチェーンも使えます。ブロックチェーンは、タイムスタンプと共にバーコードデータを逐次的に記録します。

一方、データベースサーバーは、ブロックチェーンに定期的に問い合わせをおこない、トレーサビリティ情報を蓄えます。ユーザーは、このデータベースサーバーへ接続して、検索や追跡情報を素早く、簡単に取り出すことができます。ブロックチェーンが苦手とする過去に遡っての素早いデータアクセスを可能にします。

ShizuiNetのデータベース本体(JSON形式):
ShizuiDataBase

データベースの検索:
ShizuiSearch

社員の退勤記録:
WanaPi-work

管理区域の入室状況:
WanaPi-room

毎日の体温を記録&証明:
TemPi

公共のブロックチェーンと、省電力な小型デバイスだけで構築されたShizuiNetは、他にも様々な方面に応用が可能です。共同研究では、米や自然薯などの農産物トレーサビリティにも応用されています。公共ブロックチェーンを利用しているので、検索サーバーが故障しても、元になるデータベースはブロックチェーンに保持されていますから、復旧後の最新情報で簡単に再構築可能です。しかもブロックチェーンのアクセスポイントは800以上もあるので、データベースサーバーがダウンしている間も、データ書き込みは影響を受けません。暗号理論的に保証されたゼロダウンタイム運用です。非常に高い可用性を保ち、改変されることもなく、証明性も損なわれません。

現在、岐阜大学医学部のセルプロセッシングセンターを使って、ShizuiNetを利用するための専用デバイス「CellPi」の試作品を使ったテスト運用をおこなっています。わたしたちが持つ細胞取り扱いのノウハウを社会に還元すべく、デバイス、ネットワークともに他の企業や機関と一緒に考えながら、ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズをしています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。岐阜大学との共同研究契約を交わしていただいた上でソースコードを共有し、一緒にアプリケーションを開発できます。

ShizuiNetによる細胞保存過程のシミュレーション解説動画

メンバー

手塚 建一(代表取締役)

1964 東京都町田市生まれ
1987 京都大学理学部卒業
1987 ヘキストジャパン(株)医薬総合研究所分子生物学研究室
1991 明海大学歯学部口腔解剖第一講座, 助手
1994 Merck Research Laboratories, Postdoctoral Scientist
1997 東京理科大学生命科学研究所, 講師
2002 岐阜大学医学部再生医科学専攻, 助教授
2004 科学技術振興機構, さきがけ研究員(兼任)
2007- 岐阜大学大学院医学系研究科, 准教授
2022- 株式会社しずい細胞研究所, 代表取締役(兼任)

私は長年にわたって骨や歯などの研究をおこなってきました。岐阜大学に移ってきた時に、捨てられる親知らずからたくさんの細胞が採取できることを知り、この細胞を世界に届けたいと思い会社を立ち上げました。これまでの経歴や詳しい業績は以下の研究室のホームページを御覧ください。

岐阜大学大学院医学系研究科手塚研究室のホームページ

会社概要

会社名:株式会社しずい細胞研究所

所在地:501-1194 岐阜県岐阜市柳戸1-1
岐阜大学大学院医学系研究科再生機能医学分野内
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代表者:手塚建一

事業内容:細胞の品質・流通管理システムの開発

資本金:350万円

会社設立:2022年4月1日