ShizuiNet

われわれが提供するShizuiNetは、ブロックチェーンに、細胞の製造や輸送などに関する様々な情報を記録するシステムです。細胞を提供してくれるドナーさんから患者さんまでをつなぐ役目をします。

細胞の輸送や、製造現場で使われるデータ形式の多くは互換性がなく、専用システムの構築と維持には多大なコストがかかります。そこで、われわれは岐阜大学しずい細胞プロジェクトで培われた経験を元に、現場で簡単に細胞と紐付いたバーコードデータを記録するしくみが作れないかと考えました。

細胞を保存したフリーズボックス内のチューブの配置図や、ロボット式凍結保存装置の保管台帳などで、チューブやサンプルに付けられるバーコードIDがあります。これを現場でリアルタイムにブロックチェーンに記録していくデバイスを、学生実習で作りました。

dHealthやSymbolなどの、公共性の高いブロックチェーンだけでなく、mijin等の機密性の高いプライベートブロックチェーンでも使えます。ブロックチェーンは、タイムスタンプと共にバーコードデータのみを逐次的に記録します。

一方、データベースサーバー(MoniPi)は、ブロックチェーンに定期的に問い合わせをおこない、トレーサビリティ情報をsqlite3というローカルデータベースに蓄えます。ユーザーは、このデータベースサーバーへ接続して、検索や追跡情報を素早く、簡単に取り出すことができます。これがブロックチェーンが苦手とする過去に遡っての素早いデータアクセスを可能にします。

ShizuiNetのデータベース本体(JSON形式の公開生データ):
ShizuiDataBase

データベースの検索機能デモ(退勤管理応用例):
ShizuiNetWanaPi

公共のブロックチェーンと、省電力な小型デバイスだけで構築されたShizuiNetは、他にも様々な方面に応用が可能です。共同研究では、米や自然薯などの農産物トレーサビリティにも応用されています(CannaPi)。公共ブロックチェーンを利用しているので、検索サーバーが故障しても、元になるデータベースはブロックチェーンに保持されていますから、復旧後の最新情報で簡単に再構築可能です。しかもブロックチェーンのアクセスポイントは800以上もあるので、データベースサーバーがダウンしている間も、データ書き込みは影響を受けません。暗号理論的に保証されたゼロダウンタイム運用です。非常に高い可用性を保ち、改変されることもなく、証明性も損なわれません。

現在、岐阜大学医学部のセルプロセッシングセンターを使って、ShizuiNetを利用するための専用デバイス「CellPi」の試作品を使ったテスト運用をおこなっています。わたしたちが持つ細胞取り扱いのノウハウを社会に還元すべく、デバイス、ネットワークともに他の企業や機関と一緒に考えながら、ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズをしています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。岐阜大学との秘密保持契約や共同研究契約を交わしていただいた上でソースコードを共有し、一緒にアプリケーションを開発しませんか?

ShizuiNetによる細胞保存過程のシミュレーション解説動画